この記事は、note に書いていた記事をこちらへ移して書き直したものです。
自分の代わりに、毎週銘柄を選んでくれる仕組み
毎週金曜日の夜8時、僕のパソコンの中で小さなプログラムが勝手に動き出します。日本の高配当株を150銘柄くらい、ざっと眺める。今週買う銘柄を2つ選ぶ。購入記録まで、勝手につけてくれる。最後に「今週はこれを買います」とLINEで報告が飛んできます。
自分で考えて選んでいるわけではありません。仕組みに選ばせています。
といっても、全自動で売買しているわけではありません。銘柄を選んで記録するところまでが仕組みの仕事。実際に買うボタンを押すのは、僕です。
最初は手で選んでいました。利回りの高い銘柄を調べて、業績を見て、うんうん唸って。でもこれ、毎週やるとなると本当に面倒くさい。そして面倒くさいことは、だいたい続きません。
正直に言うと、銘柄分析はしていません
ここで多くの投資の記事なら「だからこそ企業をしっかり分析しましょう」という話になると思うのですが、僕は逆です。
面倒くさいので、銘柄分析はしていません。むしろ「分析しないで済む」ように、仕組みのほうを積み上げています。
努力でなんとかするのではなく、努力しなくていいように外側を固める。性格的に、そっちのほうが続くんですよね。
3倍になった銘柄が、全体の2%にもならない
この仕組みで2025年6月に842円で買ったある銘柄が、今は2,500円くらいになっていて、だいたい3倍です。
……と書くと「おお」となるかもしれませんが、先に正直なオチを言っておきます。その銘柄は、僕のポートフォリオの中では7,500円分くらい。全体の2%にもなりません。3倍になっても、嬉しさは控えめです。
でもこれ、仕組みとしてはむしろ「正しく動いている証拠」なんです。1銘柄に資金を集中させていれば、3倍になったときのインパクトは大きい。でもそれは、外れたときのダメージも大きいということ。「1銘柄が3倍でも大したことない」状態は、退屈に見えて、実はいちばん事故りにくい状態です。地味さは、分散の手柄です。
そもそも、なんで高配当株なのか
なんでインデックスじゃなくて高配当株なの、という話を少しだけ。僕も普段の積立はオルカン(全世界株式インデックス)がメインです。それでいいじゃん、と自分でも思います。
それでも高配当株を別でやっているのは、こういう理由です。
- オルカンは、たぶん自分には取り崩せない。増えていくのは嬉しいのですが、いざお金が必要なときに「売る」という判断が、自分の性格上できる気がしないんです。眠っている資産になりそう。
- 定期的にお金が入ってこないと、自分はかなり焦るタイプだと知った。育休中、支援金の振り込みが遅れた時期がありました。あのとき「自分は決まったタイミングでお金が入ってこないと、こんなに不安になるんだ」と気づいてしまった。配当は、その不安に効く薬みたいなものです。
- シンプルに、配当が積み上がっていくのが楽しい。何もしなくても、配当の予定額がチャリンチャリンと増えていく。これがゲームみたいで普通に面白いんですよね。
理屈というより、自分の性格に合っているから、という話です。
利回りの高い順に買うだけだと、危ない理由が2つある
やっていることを一言でいえば「機械的に利回りの高い銘柄を買う」です。ただ、これを本当に「利回り順に買う」だけでやると、けっこう危ないんです。
- 利回りが高い銘柄には「罠銘柄」が混じっている。業績が悪くなって株価が落ちると、見かけの利回りは上がります。つまり「利回りが高い=これから配当が減る予備軍」というケースが、ふつうに混じっています。
- 高配当銘柄は、業種が偏りやすい。銀行・商社・海運・鉄鋼……といった特定の業種に集まりがちです。利回り順に買い続けると、気づいたら同じ業種だらけ。その業種が不調になった瞬間に、ポートフォリオごと沈みます。
だから僕のルールは、ただ利回り順に並べて上から買うようにはできていません。
ルールが守っているのは「配当を減らさない」と「判断を減らす」の2つ
ルールの細かい中身は、いくつもの決めごとの組み合わせです。でも、それぞれが何のためにあるのかを突き詰めると、守りたいものは2つしかありません。受け取る配当が減らないことと、自分が判断する場面をなるべく減らすことです。
欲しいのは、今年いちばん高い利回りではありません。来年も再来年も、同じように入ってくる配当です。見かけの利回りが高くても、その配当が来年には半分になっているなら意味がない。だから「どれだけ高いか」より「続くかどうか」を先に見るようにしています。
そしてどれだけ気をつけて選んでも、配当を減らす会社はいずれ出てきます。それは避けきれないものとして受け入れて、1社が減配しても、ある業種がまとめて不調になっても、受け取る配当の合計はそれほど揺れない。そういう形に全体をしておく。1つひとつの銘柄を当てにいくのではなく、全体として配当が細らないようにするのが、1つめの目的です。
2つめは、判断を減らすこと。毎週うんうん唸って選んでいたら、きっと続いていません。それに、人が判断する場面には、焦りや欲が入り込みます。株価が下がれば売りたくなるし、上がった銘柄はもっと買いたくなる。
そういう気持ちに振り回されないように、迷うのはルールを決めるときに一度だけにして、あとはルールに任せて淡々と回す。買ってからあれこれ考える場面も、なるべく作らないようにしています。判断する回数が少ないほど、仕組みは崩れにくく、長く続きます。
この2つは、ばらばらの話ではありません。判断を減らせば、そのぶん自分の目で危ない銘柄を見抜く機会も減ります。だからこそ、見抜かなくても事故らないように、外側を先に固めておく。冒頭で書いた「努力でなんとかするのではなく、努力しなくていいように外側を固める」は、この2つを同時に満たすための考え方です。配当を減らさないための守りを、判断のいらない形でルールに埋め込んでおく。それができていれば、毎週プログラムが選んだ2銘柄を、あまり考えずに買っていけます。
まとめ
派手な必勝法ではありません。むしろ「いかにサボるか」と「いかに事故らないか」だけを、真面目に詰めてきた結果です。でも、続けられて、夜まともに眠れる仕組みって、結局これくらい地味なものなんじゃないかなと思います。
- 利回りの高い順に買うだけだと、罠銘柄と業種の偏りを踏む
- ルールが守っているのは「受け取る配当が減らないこと」と「判断する場面を減らすこと」
- 見抜く努力の代わりに、見抜かなくても事故らない形を先に作っておく
持っている銘柄の、買った値段に対する利回りと、配当込みの損益は取得利回り・トータルリターン電卓で出せます。この仕組みで毎週何を買ったかは、note の週次の運用レポートに残しています。