新NISAで持っている株や投資信託を売ると、使っていた枠は売った翌年に、買ったときの値段(簿価)の分だけ戻ります。売ったその年のうちには戻りません。
このページでは、「いつ戻るのか」「年内に戻るように変わるという話は本当か」「成長投資枠が戻らないように見えるのはなぜか」を、2026年10月時点の制度と金融庁の資料をもとに順に整理します。自分もNISAで売った分があり、2027年1月に戻るのを待っているところです。
先に結論
- 売った枠が戻るのは翌年。売った年のうちは戻らない
- 戻る額は売却代金ではなく簿価(買ったときの値段)
- 「年内に戻る」ようにする改正は、令和8年度は見送り。令和9年度の要望にもう一度入っていて、決まるかどうかは2026年12月ごろの税制改正大綱で分かる
- 戻っても、1年に買えるのは年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)まで
売った枠は翌年に、簿価の分だけ戻る
新NISAの生涯投資枠(正式には「非課税保有限度額」)1,800万円は、簿価で管理されています。金融庁は「NISA口座内の商品を売却した場合には、当該商品の簿価分の非課税枠を翌年以降に再利用できる」と説明しています。
- 100万円で買って、130万円に値上がりしてから売った → 戻るのは100万円
- 100万円で買って、70万円に値下がりしてから売った → 戻るのは100万円
いくらで売れたかは関係ありません。一部だけ売ったときの計算(平均の取得単価×売った数)は、楽天証券の記事の「新NISAの枠の考え方」で説明しています。
戻った枠は、新しい年のNISAの取引が始まれば使えます。年明けに取引を始められる日は、証券会社ごとに案内があります。
12月の終わりに売るとき
12月の終わりに売ると、代金の受け渡し(受渡日)が翌年になることがあります。その売却がどちらの年の扱いになるか、つまり枠が戻るのが翌年か翌々年かは、使っている証券会社に確かめてください。
「年内に復活」の改正は?(2026年10月時点)
売った枠をその年のうちに戻せるようにする案(「非課税保有限度額の当年中の復活」)は、金融庁が税制改正の要望に入れています。ただし、まだ決まってはいません。
- 令和8年度の要望(2025年8月)に入った。投資する商品を入れ替えやすくするため、という理由
- 2025年12月の令和8年度の税制改正大綱には入らず、見送りになった
- 令和9年度の要望(2026年8月)に、「継続要望」としてもう一度入った
要望は、金融庁が「こう変えてほしい」とお願いしている段階です。決まるかどうかは、例年12月に出る税制改正大綱で分かります。「2027年から年内に戻るようになる」という話を見かけたら、2026年10月の時点ではまだ決まっていない、と読んでください。
なお、2027年から始まる予定の「こどもNISA」(0〜17歳でもつみたて投資枠が使える。年60万円・合計600万円まで)は、令和8年度の大綱に入ったもので、枠の復活とは別の話です。
出典:金融庁「令和8(2026)年度 税制改正要望について」(2025年8月)・「令和8(2026)年度税制改正について」(2025年12月)・「令和9(2027)年度 税制改正要望について」(2026年8月)
「成長投資枠が復活しない」と感じるとき
売ったのに成長投資枠が戻っていないように見えるときは、次の3つのどれかに当たっていることが多いです。
① 売った年のうちは戻らない
今年売った分が戻るのは来年です。今年のうちは、売っても使える額は増えません。
② 年間の成長投資枠(240万円)は、売っても戻らない
枠には、1年に買える上限(年間投資枠)と、生涯で持てる上限(生涯投資枠)の2つがあります。売って戻るのは生涯投資枠のほうだけで、年間投資枠は売っても戻りません。
たとえば、今年すでに成長投資枠で240万円を買っていたら、そのうち100万円分を売っても、今年はもう成長投資枠で買えません。証券会社の画面に出ている「残り」が、年間の枠(240万円)のことなのか、生涯の枠(1,200万円)のことなのかを確かめてください。
③ 成長投資枠の1,200万円と、つみたて投資枠の関係
成長投資枠で使えるのは、1,800万円のうち1,200万円までです。成長投資枠で買ったものを売れば、この1,200万円の側も翌年に簿価の分だけ空きます。
ただし、つみたて投資枠で600万円(1,800万−1,200万)を超えて使っていると、超えた分だけ成長投資枠に入れられる額が減ります。生涯投資枠に空きがあっても、成長投資枠では買えない、ということが起こります。
戻った枠も、1年に使えるのは360万円まで
年間投資枠は年初に決まり、売っても増えません。生涯投資枠に大きな空きができても、1年に買えるのは、つみたて120万円+成長240万円=360万円までです。
たとえば、1,800万円を使い切っていた人が、簿価900万円分を売ったとします(数字はダミーです)。翌年、生涯投資枠に900万円の空きができますが、埋め直すには何年かかかります。
| 翌年から | 両方の枠で買う | 成長投資枠だけで買う |
|---|---|---|
| 1年目 | 360万円 | 240万円 |
| 2年目 | 360万円 | 240万円 |
| 3年目 | 180万円(埋まる) | 240万円 |
| 4年目 | - | 180万円(埋まる) |
まとめて売って買い直すと、非課税で持てる額が数年にわたって減ることになります。
自分の「来年戻る額」を出す
今年売った分の簿価がいくらで、来年の生涯投資枠がいくらになるかは、取引をたどらないと分かりません。金融機関から届く「特定累積投資勘定基準額等通知書」は前年末の時点の数字なので、今年の売却は入っていません。
たる坊ワークスの無料ツール「NISA 生涯投資枠の残り計算」は、取引の記録から、いまの残りと来年戻る額を出します。来年戻る分は、結果の横棒に斜線で描かれます。
- 楽天証券の人は、取引履歴のCSVを読み込むだけです(手順は楽天証券の記事)
- ほかの証券会社や銀行の人は、年ごとの表に、買った額と売った分の簿価を手で入れれば同じ計算ができます
計算はブラウザの中だけで行い、入れた数字やCSVはどこにも送りません。
ツールを開く(NISA 生涯投資枠の残り計算)まとめ
- 売った枠は、翌年に簿価の分だけ戻る。売った年のうちは戻らない
- 「年内に戻る」改正は令和8年度は見送り。令和9年度の要望に再び入っていて、2026年12月ごろの大綱で決まるかどうかが分かる
- 年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)は売っても戻らない。成長投資枠が戻らないように見えるときは、まずここを確かめる
- 戻った枠も1年に360万円までしか使えないので、まとめて売ると埋め直すのに数年かかる